兎徒然

うさぎと暮らす日々、ときどきアート

絵画表現の追求ー小学1年ー 前編

  前回反応が多かったので、シリーズ化してみることにした。

 保育園時代の絵にまつわる話↓

 

 

flemy.hatenablog.jp

 

  小学校入学、たいてい子どもはワクワクするのだろうか?

  小学校入学前の春、我が家にワープロがやってきた。姉のたっての希望であった。(姉が小学2年の終わり、ということになる。姉は私が絵に熱を燃やしたように、機械好きの子であった。保育園時代にはラジオをドライバーで分解していた。)

 

  学校に行きたくない。

 

  この一文が人生初のタイピングであった。我ながらなんとまぁ…である。

  往々にして私の予感は当たる。入学して、その行きたくなさは日々つのっていった。

  私は言語を聞き取るのが苦手だ。聞くのが苦手な子どもにとって日本の教育システムは地獄だ。幸いにも、保育園時代からの読書好きが高じて、教科書の内容は読めば理解できた。次にやる単元を読んでおけば、聞き取ることができないところがあっても理解が遅れることはなかった。

 

flemy.hatenablog.jp

 

  苦手なのは全員で合わせる朗読、突然意見を要求され、先生の意に沿う答えを求められること。女子グループの会話も苦手だったので、すぐに孤立した。

  色んな子が色んなことを話すけど、自分は全然楽しくなかった。どんな話題があったのかさえ覚えていない。

  入学して間もない頃の休み時間、私は窓から外を眺めるのが好きだった。多分あれは新緑の…今ごろの季節。山間にポツンと建った校舎の窓からは山並みや空がみえ、風が草木の爽やかな薫りを教室の中まで運んでいた。

  鳥がないて、カエルが歌い、雲がすいすいと形を変えていく。空の青と木々の緑が眩しい。とにかくその季節の美しさに心酔していた。

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 「〇〇さんっ」

  もの凄い口調で先生が私を呼んだ。窓辺に立っていた私はびっくりして振り返ると、先生は怖い顔をして、クラスメイトは全員着席して私を見つめていた。

  休み時間はとっくに終わっていたのだ。先生は何度も何度も私の名前を呼んでいたのに、私の耳には全く入ってこなかった。

 胸がドキドキして、カッと顔が熱くなった。

 悪気は無かったのだ、と説明したくても、言葉は声にならない。足早に席に着いたら、先生はすぐに授業を始めた。

  その事件があってから、私はしばらく休み時間に席を立つのはトイレくらいで、ずっと座っていることにした。また、いつあんな風に何もかもが聞こえなくなるかわからない。読書をしたり、お絵かきをしたりを楽しんだが、学校にいる間は没頭してしまわないように自分を制した。

  識字能力が高まっていくと比例し、私は読書が楽しくなった。母は読書は考える力がつくと、漫画も含め、どんどん読めという方針だった。漫画はルビがあるので知らない漢字にたくさん当たることになる。内容も、小学生向けの童話より複雑で分からないこともでてくるが、絵があるので想像で読み進めることができた。

  当時私が好きだったのは、あさぎり夕さん、久保キリコさん。お小遣いを貯めては、コミックスを買う。数回読めば、大体頭にコピーができた。これはカメラアイというそう。

 

 

 

 

 

   学校の帰り道には脳内の漫画のページをめくりながら歩いた。時々思い出せないページがあると気になって仕方なく、もの凄い早足で家に帰った。

  美術館などに行くチャンスは無く、絵のお手本は当然漫画になった。髪の毛の一部を白く塗り残すとツヤツヤした質感に見えることや、服の脇や肘部分には皺が寄ること。スカートのギャザーやフリルを、ぽくみせるには皺を沢山入れること。でも皺を一定に入れると不自然に見え、上手く描くには不規則さを狙う必要があった。

  日曜日の朝には起きたら新聞に挟まれたチラシをチェックするのが決まりだった。

  目当ては複製画のチラシ。表はラッセンの絵、裏は印象派の絵が多かった。

エドガー・ドガ ポスター グッズ 雑貨 インテリア 絵画 美術 アート 西洋絵画

メアリー・カサット ポストカード Mother and Child

もっと知りたいルノワール―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

  私が初めて触れた名画は、このペラペラの数センチ内に収まるもので、ドガやメアリーキャサット、ルノアールなど、幸福そうな絵の中の女性や子供に憧れた。

 

  まともなサイズの図版があったら、絵画表現のアプローチも、この時に劇的に変わっていたかもしれない。

  まるで生きている人間の本当の肌、風を感じるような空。どうやったらこれが書けるのだろう。

  遠足の絵、がテーマの図工の時間、チラシの絵は肌に色んな色を使ってるな、と自分の顔を描く時に桃色や橙、水色、と塗り重ね、最後に肌色と白をのせてみたら、生き生きとした肌の透明感がでた。

  少し高揚していた私に、クラスのリーダー格の女子が言った。

「自分のことをそんなに美人に描くなんて図々しい」

  

  なぜ、世の中の人間はこんなに意地悪なんだろう。なぜ、美しいものを楽しめないんだろう。なぜ、そんなに乱暴に人を傷つけるのだろう。

 

そしてやっぱり自分は変わっている。

 

  次からはなんとなく遠慮がちな絵になった。形式的な子供が描く絵にしていた。とにかく目立たずに一日をやり過ごすことに全神経を注いでいく。学校では気持ちのスイッチを切ることを覚えはじめた。

 

  後編に続く  

 

  ふきちゃんを愛でる会、沢山の入会希望、また暖かいコメントをありがとうございます!

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