昨日の記事からの発展で、観るを極めた天才を傍でみつめてきた人の本を紹介したい。
スタジオジブリを率いた天才、宮崎駿、高畑勲、そんなじゃじゃ馬の手綱を引いてきた鈴木敏夫さんの著書である。
この三人が同じ時代に生きたなんて、まさに天の采配という言葉がピッタリ。
トトロ公開時に3歳だった私は、アニメといえばジブリ!
アニメ自体は勿論だが、ジブリ作品が公開される時にある特番で、制作風景をみるのが楽しみだった。
基本、会社勤めは向いてないなと自覚があったが、スタジオジブリなら就職してみたいと思った。大の大人が真剣に楽しんだり怒ったり、がむしゃらになっている会社。
高畑勲、宮崎駿のアニメをみると、二人の観察眼に舌をまく。ジブリアニメは観察の結集だ。
宮崎駿は映像記憶に長けた天才だ。資料を見ながら絵を描く人を信用しないという。
「いやしくも絵を描く商売をめざすなら、いろんなものに好奇心を持って、日常的に観察はしているものだ」と。
スマホを手にしてから、つい、いいなと思うとパシャリとやってしまう。時々この言葉が頭によぎる。1分でも時間があれば脳内クロッキーをしてみる。撮影したらスマホのカメラロールには残るが頭の中には1/100くらいしか残らない。
この著書の中で語る印象深い宮崎駿の逸話がある。
スタッフ何人かでアイルランドのアラン島に行った時、美しい景色に二人は立ち合った。 自分達の泊まった民宿が、白夜の中とても美しい建築であることに気づいたそう。
著者はカメラを出して撮影した、すると宮崎駿に怒られた。
シャッター音がうるさいと。
帰国してから数ヶ月後に「魔女の宅急便」の制作をしているとき、駿氏は映画に出てくる家の絵を描いて著者にみせにきたそう。
アラン島の民宿だった。
ここで終われば、あ、宮崎駿の視覚記憶って凄いー!ってだけの話。
かれの鬼才ぶりはここから。
ちょっと思い出せない部分があるから、撮影していた写真をみせてくれと言う。
資料を見るな、シャッター音がうるさいと言っておいて、写真を借りようとする。
そのポリシーと、ポリシーをいったん棚に上げてみせてくれと頼めるってのが凄い。
私ならうるさいと言ってしまった手前、これ描きたいからみせてくれない?とは言えない。ひねくって、旅の思い出話をし、鈴木さんがアルバムを出してくるのを待つと思う。
そのめちゃくちゃさに怒らずに、彼の観察力記憶力に感嘆している著者の器の大きさも凄い。
先月の訃報で、あぁやはりジブリはもうなくなるんだと実感がわいた。 高畑勲氏は土着のものづくりをする人だった。駿氏とはまた別の鬼才ぶりがこの本で語られている。
「おもひでぽろぽろ」では主人公が紅花摘みをする。それを映画に盛り込むには、紅花摘みの作業の実態を知らずには作れないのが高畑勲だ。
著者は高畑勲監督が言い出したらきかないのを重々承知だったので、しようがないので二人で山形まで行き農家さんを紹介してもらった。しかも、その間に国内の紅花の本を全部集めさせて読み、『紅花はこうして作る』という紅花研究本を作ってしまったそう。
高畑勲はリアリズムを徹底してつくりだす。 宮崎駿は観察力と記憶力で『らしく』みせる。
正直この二人、アニメーターでなければなかなか傍迷惑な人だったんじゃないかな( ̄∀ ̄)
ジブリアニメが好きな方にはもちろんだが、そうじゃない人にもお薦め。特に真面目で融通が効かない人にこそ読んでほしい。そんな人の感想をききたい一冊。
書店員をしていた頃、ちょくちょく訊かれたのが、『入院してる方へのお見舞いにもっていくのにお薦めの本』だった。
これはなかなかに難しい。
①読書好きの方でもまだ読んだことがない、つまりは面白いけどベストセラーではない本。
②長編よりは短編やエッセイ、患者さんを徹夜させるわけにいかない。
③(ケガでの短期入院を除いて)悲しいストーリーではないもの、お訊ねの方が病名までおっしゃることはほぼ無いが当然きけない。病や死がテーマのものは避ける。
私は上記の3つを条件にしていた。
お見舞いの相手が女性なら、風景、動物、花の小さな写真集。会社の同僚で、本はよく読んでるみたいだが趣味がわからない方には「空想科学読本」。
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ジブリアニメはご覧になられる方ですか?ときいて、少しでも興味がありそうなら「仕事道楽」をすすめていたので、売り上げに微力だが貢献していた( ・∇・)
今調べたら新版がでていた。
ジブリが嫌いな方にはまだ一人しか会ったことがない。
ちなみに読者の皆様はどの作品が好きですか?
私は①トトロ(白くて丸くて耳がある小トトロがとにかくかわいい)②千と千尋(これぞ日本文化の結集!子ども達に見てほしいNo.1)③もののけ姫(ジブリのアニメーション技術の最高峰)。
千と千尋は日本美術はもちろん、アニミズムの精神を伝えながら、現代の子どもが生きるためのたくましさを、映画の中で千尋と共に考えて成長できる作品なんじゃないかな。
先月起こった日大アメフト部の一件。
確かに選手には同情するが『千と千尋の神隠し』をみてほしい。
屋台の食べ物を勝手に食べた両親は豚に変えられてしまう。それをふにゃふにゃした小学生の千尋が様々な苦労をし、学び、社会をしり、たくましく自分の足で歩き、最後は両親を助けるというストーリー。
冒頭「千尋も食べな、骨までやわらかいよ」と、屋台の食べ物を勝手に口にする両親に、千尋は「いらない」「お店の人に怒られるよ」と断る。
千尋がここで両親の言うことを聞いていたら、三人共豚だ。これでは映画は始まらない。
なんじゃこりゃ!笑笑↓
私、カオナシのモノマネが得意です。これがあれば完璧じゃないか。

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子ども達には、自分で考えるたくましい人になってほしい。間違った大人、社会の中で、異議を唱えられる人になってほしい。問題を解決するために行動できるようになってほしい。
自分で考えるでし。
考える為に学習するでし。