兎徒然

うさぎと暮らす日々、ときどきアート

音に包まれる

 フジコさんの音楽について、書こうとするけど、彼女の音を語るには陳腐なことばしか浮かばない…。

 

  フジコ・ヘミングを知ったのは1999年のテレビ放送でのこと。たまたまつけた番組でフジコさんの半生と、ピアノが紹介されており、なにこれ!とくらいついて聴いた。

  こんな人がいままで日陰にいたなんて…アートの世界は残酷でもあると思った。

  フジコさんは10代で右耳の聴覚を失って、それでも屈せず留学。(父親が外国人で国籍が無く、難民としてパスポートが作成された)

  ドイツで、バースタインに認められてついにデビューリサイタルという35歳の時、左耳も聴こえなくなる。

  そのあと左耳は40パーセント回復したが、音楽家が聴力を失うということが、どれだけ絶望し奈落に突き落とされる出来事か…想像を絶する。

   あの時に心鷲掴みにされた「ラ・カンパネラ」を生で聴ける日が来るなんて!!19年前の私に教えてあげたい。

フジコ・ヘミング 運命の言葉 (朝日文庫)

 

フジコさんに会えたよ!聴いたよ!

   

   映画の中で、やはり体調が悪い時は聴こえにくいのか、オケと合わせられず苦しむ姿もあった。

  嫌な言い方だが、フジコヘミング が売れた時、専門家からはこき下ろしの批評が溢れた。

それは仕方ないことかもしれない。フジコさんの音色って昨今のピアニストと色が違う。  異端は責められる。いびられる。教室のいじめと同じだ。

  

 これも昔、15年くらい前に、美輪明宏がフジコさんの音楽は1920年代の一番美意識が高かった時代の音、と形容していた。

  フジコさん本人もその時代のファッションや家具、絵画が好きと言っていた。

  美輪明宏さんについては、もはやこの世の人ではないと思える。博識すぎる。私は美術くらいしか話しがわからなかったりするが、その分野だけでも驚異的な記憶力をもって、いきなり説明を始めたりする。

  私の知る限りでは、そのどれもが誠に正しく、然るべきシーンで会話に挟んでくる!

 

紙のピアノの物語

  フジコさんの映画を観て本人にお会いし、演奏を聴いて思うことは、彼女の人生はまるごとファンタジック!あれは現代の魔女なんだという結論に至った…。

  

  フジコさん、ロームシアター京都での収益は全額を動物愛護団体と大阪地震の復興に寄付するとおっしゃったそう。それにほだされて協賛の読売新聞さんも寄付を約束してくれたと。

  対談では、映画をまだみていないご本人が声楽家の友人の紹介を客席にしようとする。友人は映画に登場していたので、客席はみーんな知ってるのだ。

  それを監督、フジコさんフジコさん、あのね、皆んな知ってますよ〜。

  とてもチャーミング。

  なんでも映画館に監督と一緒に行こうとしたけど全席埋まってしまって見られなかったと。

  「映画が下火になったら観に行きます!」

   フジコさん、僕は下火になってほしくないなぁ(-_-;)と、監督。客席爆笑!

  

  生で演奏を聴くと、自宅のプレイヤーとは違い、音に厚みがでて立体感があり、まるで音に包まれるようで、ききいると、眠りに入る直前のような状態になってしまう。

  身体はもうぐったりと動かないけれど、頭は起きている、そんな状態。

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音は空間にたちあがり、舞い、散って、流れて。

 

 ドビュッシー「月の光」

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  この曲の光がキラキラする部分、他の人のは硬質な音だけれど、フジコさんのは闇のなかに光がもれてパァーと照らし、静かに透明になっていく。

 

 

 リスト「愛の夢

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  これはフィギアスケートでよく使われるので、中学生くらいからちゃんとタイトルと曲が一致していた数少ない曲。だけど、あんまり好きじゃなかった。

  甘ったるくて凡庸だと思っていたけど、フジコさんバージョンを聴いて大好きになった。

  高揚するかのような幸せの絶頂と、心かきむしられるようなセンチメンタル、花が開いていくようなイメージ。

 

  楽しいことばっかりっていうのもね、センチメンタルもいいじゃない、とフジコさんは笑う。

 

   描いてみたけど、全然うまくいかなかった。

 もっともっともっと、美しい色と形の音。

   即興で描くと色彩が厳選できないのと、濁ってしまうのが難点。今度は時間をかけて描いてみるかな。

 

 ピアニスト、 ふきちゃん。

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弾いてるのは。黒鍵のエチュードかな?

あ、ペダルを描くのを忘れた!

 

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FUJIKO HEMMING:Esprit de Paris