兎徒然

うさぎと暮らす日々、ときどきアート

絵画表現の追求ーいわさきちひろに憧れて(前編)

  本当に優しい人は強い人である。

  世の真理として古今東西で伝えられることば。私はいわさきちひろの絵に、真の強さをみる。

いわさきちひろ 子どもへの愛に生きて

 

  小さい頃からなじみの絵だった。ちひろの絵本にでてくる少女に似ているね、と大人からよく言われたが、日本の少女なら、きっとちひろの描いたどの子かには似ている。

  中学に上がった時、兄が美術の授業で使った透明水彩絵の具と油絵のセットをくれた。授業の為に買ったが、兄には絵のセンスは皆無で、絵の具もほとんど減っておらず、新品同様であった。

  とびついたのは、初めて手にする油絵の具。

  兄の、なにか描いてあったキャンバスを下地で潰して上から描いた。森とうさぎ、でも、全然上手く絵の具を扱えないし、すごい匂いがするし、で、潰しては描き、描いては潰し、一枚きりのキャンバスはどんどん厚くなっていくばかりだった。

  透明水彩絵の具は小学四年の頃に文房具屋で買って持っていた。けれど、ホルベイン透明水彩絵の具はまるで違うものだった。

  色が全然違う!まるで急に上手くなったみたいに描けた。

  この頃、車で30分はかかるが、寂れた田舎に新興住宅地が建ち、お店も増えた。その中には大型書店や古本屋もあり、そこに行くのが楽しみだった。

  母が買い物にいく時は、本屋で降ろしてもらい、膨大な時間を過ごしたものだ。

  特に古本屋は宝の山で、いわさきちひろの絶版絵本が100円なんかで買えた。(生まれる前のアニメージュや詩とメルヘンなんかもここでであった。)

別冊太陽 いわさきちひろ

  ちひろの絵は素晴らしいお手本だった。

  中学時代はみるものすべてが新しくなったようで、絵も毎日上手くなるのを実感し、夜な夜な一人で絵を描いて、自分はやっぱりこうやって生きていくんだろうなと思った。

  ど田舎に住む私はの社会の窓は本だった。とにかく知らない世界があるならみれるだけみたい、と、授業中は読書に耽り、帰宅したらうさぎと戯れて深夜まで絵を描く。家庭訪問の際に、担任が部屋を覗いて机の上に画材しかないのを二度見していた。

  家庭学習の時間は0時間だった。先生には、高校、大学受験の為に今から学習習慣を作るように言われたが、東大を目指すわけでもないので、勉強は学校とテスト前にしかしないときっぱり言った。

  そもそも中学時代には家庭の経済状況は悪化するばかりで、大学に行くお金は無いよ、と言われていたのだ。

  進路選択の選択肢なんてなかった。高校もこの田舎じゃ、行きたい高校なんてなかった。

  高校は出してあげると言われていたけど、私は高校にもいかないつもりだったので、受験用の勉強ではなく、自分の血肉となるものを吸収したいと思っていた。(世間体が悪いからと、母から懇願されて高校はでたが、できれば大検をとって奨学金を得て、夢のようだが海外のアートカレッジに行きたいと思っていた。)

   母の知人で書を嗜む人に声をかけて、捨てる筆があればもらえるようにした。家に来る母の友人のおばさんは、まわりにも声をかけて、近所の家の使われなかった美術の教材を集めて持ってきてくれた。

 私のスケッチブックには色んな人の名前が書いてある。

 

絵のない絵本 (若い人の絵本)

 深夜にちひろの絵を模写した。何度も何度も。

 まるでちひろさんと会話をしてるような気持ちになったし、描いて上手くなった気がしては、ちひろの筆力ははかりしれず、そのデッサン力に感嘆した。

  たくさん模写をしたが、ちひろについては何もしらなかった。ただ、この人には内に秘めた激しさを、模写をしながら知ることになった。

  甘やかでふわふわした絵に、時々まじる心を千切られたような絶望や哀しみ。激しい怒り。      

戦火のなかの子どもたち (創作絵本 14)

 本の最後の著者写真のちひろさんは可愛らしい女性で、苦労なんて知らないみたいな顔をしていた。

ラブレター

 

  中学三年の春、関東への修学旅行。旅行の行程に行きたいところは皆無だったので、私には単なる苦行でしかなかった。

  ディズニーには興味が無かったし、原宿でいったい何をして過ごせば良いのかわからなかった。おまけに思春期のややこしい女子のグループにまる3日放り込まれるのだ。もはや部屋決めからもめていたし、私は当時登校拒否になりかけていた子と同室になってくれと担任に話を持ちかけられ、快く受け入れた。彼女は明るく楽しい子ではないが、ややこしい子でもない。

  ディズニーでは半日の時間が組まれていて、一時間半で私はギブアップした。グループの子に、集合時間の前にこのベンチまで来てくれるようにお願いして、一人でぼーっとした。

   お台場に至ってはいったはずなのに記憶がない。レインボーブリッジの夜景も、とにかく一人になりたくて、頭痛がするといってバスに残ったほどで、楽しかったという思い出がない。

  寄り道したジュンク堂で岩崎ちひろの生涯を辿った文庫本を買った。私はそれを帰りの新幹線で読む。これが修学旅行のハイライトとなった。

  ちひろの生涯をたどる旅は、想像したよりもっと厳しいものであった。

  

後半に続く

 

特殊切手 いわさきちひろ 童画のノスタルジーシリーズ 第2集 82円切手シート

ちひろ 夏の画集

 

会長がパトラッシュに夢中でし。

f:id:flemy:20180813182909j:image

ふきは牛乳運ばないでしけど

f:id:flemy:20180813182926j:image

会長の背中をフミフミしてあげるでしよ!

f:id:flemy:20180813182930j:image