兎徒然

うさぎと暮らす日々、ときどきアート

憧れの作家、向田邦子の暮らし

   向田邦子作品との出会いは、教科書であった。国語の教科書は、私にとっては単純に『読み物』であったので、春には全部読んでしまっていた。(もちろん授業中に。ちなみに教科書が終わったら小説を読んでいた。)

  たいがい教科書にのってる近代作品というのはつまらなくて、さらーっと読み流しておわった。その中で、うん?とひっかかったのが向田邦子の『字の無い葉書』である。

 

新装版 父の詫び状 (文春文庫)

新装版 父の詫び状 (文春文庫)

 

 

  他にも好きな作家は沢山いるが、それらの作品を思い出すとセンテンスが出てくる。言葉の選び方、文章のリズム、展開の巧みさ。

  でも、『字の無い葉書』の内容を思い出そうとすると、まず勢いよくマルだけが書かれた葉書、そして、痩せたおかっぱの妹が梅干しの種を吐き出す仕草。

  向田作品は視覚で読ませる作品だった。彼女の見た景色を、そのまま見せられてる気がして、なんて不思議な感覚の作家なんだとあらたな言葉の力に出会ったような気がした。

  美しい文、品格のある文が至宝の作品だと思っていたが、向田邦子の作品は、文が立ち消えてしまう小説だった。

 

向田邦子 おしゃれの流儀 (とんぼの本)

  後に向田邦子が脚本家であったと知り、合点がいったが、ここまで映像を可視化させる文を書く人を他に知らない。

 

 

新装版 あ・うん (文春文庫)

新装版 あ・うん (文春文庫)

 
新装版 霊長類ヒト科動物図鑑 (文春文庫)

新装版 霊長類ヒト科動物図鑑 (文春文庫)

 

 

 

  私の青春時代?、颯爽と文壇のヒロインとして現れたのは江國香織女史。

  周囲の読書好きの友人は、こぞって好きな作家に江國香織をあげた。瑞々しい感受性を柔らかい文体でさらりと仕上げ、少し非道徳な恋愛をも、堂々とあけすけに生きる女たち。

  恋愛に憧れる真面目な少女達の憧れの対象が、正に江國作品の女達であった。

 

  私も江國香織の文体には、新しい時代を感じた。彼女のセンスや、生まれ持った環境はたしかに羨ましい憧れの対象だったが、江國香織を好きな作家にあげるには、なんだか気恥ずかしさがあった。

   

  ポンと口から出たのが向田邦子であった。

 

   私はいつのまにか、作品をこえて向田邦子という人物に憧れていた。

   脚本家として一人で立ち、骨董を愛で、好きな器に手料理を盛り、猫と暮らす。

  

  彼女の暮らし中の審美眼は、たしかに作品に現れている。

 

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  中川一政の書画の前で、愛猫と写る一枚。

  いいなぁ。こんな女になりたいなぁ、と思った。

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  今日の食卓。向田邦子のエッセイを読んでつくってから定番になったサツマイモのレモン煮を。

  レシピというほどのもんではないので、書いてもよかろう。(邦子さんも多分いいと言うだろう。)

  サツマイモと檸檬をコトコトやわらく煮て、砂糖と塩で調味するだけ。私は煮て、最後にポッカレモンを回しがける。

  こうしてお惣菜にもなるし、日持ちするからお弁当の菜や、おやつやお茶受けにも。

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  たぶん、食の好みが向田邦子さんと似ている。

 

 

<とんぼの本>向田邦子 暮しの愉しみ

<とんぼの本>向田邦子 暮しの愉しみ

 

 

 

  あれ?ネットで画像を探したら、鶏肉に大葉を巻いたのも出て来た!笑笑

  向田さんの器で、妹の向田和子さんが食卓を再現したもの。↓

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  お金を持って外に出ると器を買っていたらしい。

↓  かごしま近代文学館に展示される遺品

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  この人と買い物に出かけたら楽しいだろうなと思う…けど、欲しい器がかぶったら堪らないな。

  

 

向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)

向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)

 

 

 

  

   ところで彼女は、目を惹く美人という顔の造りでは無い。失礼を承知だが…。

 

  でも、遺されたこのポートレートはなんだ。

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  まるで女優の色香である。

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  この写真には隠されていたストーリーがあった。

  邦子本人は自分の恋を一切語らなかったが、死後に妹の和子さんが赤裸々な暴露本を出している。

  なんとまぁ、である…。

  読むのはなんだか、向田邦子さんの意思に背くような気がして読んでない。

 

  長くなったので明日に続ける。

  

  

 

 

向田邦子 その美と暮らし (和樂ムック)

向田邦子 その美と暮らし (和樂ムック)

 

 

 

 

お題「好きな作家」